「平和教育」正念場に

   いしかわ教育総研「平和教育」部会は2月19日に第4回の研究部会を開催し、本年度の研究協議を終えました。本年度は、6月に戦争史蹟をめぐるフィールドワークと戦争体験を聞く会(会場・加賀市)を開催し、その取り組みをDVD化するなど、教材整備も行いました。また、研究員の学習の場として、山根靖則・県議から小松基地訴訟の歴史を学ぶ機会も持つことができました。「平和教育」の基本はあくまで学校現場にあります。その場がご承知のように、学力向上の名の下に、超多忙化の状況にあり、県教組が30年来とり組んできた、8.6を中心とした平和学習も時間確保や組合員相互の学習機会が大変難しい事態となっています。「平和部会」では、安倍政権下で、平和の意義を学ぶことはきわめて重要と考えており、来年度はまずこの課題について執行部への提言を行うことを確認しています。

 小南浩一・部会長(兵庫教育大)から、部会の総括を兼ね、平和をめぐる今日的課題と組合員の皆さんへの提言をいただきました。以下に掲載いたします。

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戦後70年、新たな視点で「平和教育」を
                  「平和教育」部会長 小南浩一

  2014年12月14日、衆議院総選挙が行われ、自公与党が過半数を制した。選挙期間中はほとんど触れなかった憲法改正につき、安倍は14日夜、与党が大勝したことを受けて、「憲法改正に向けた議論を推進する考えを表明した」(『朝日新聞』2014年12月15日)。
総選挙の勝利によって、今後4年間に最大の政治課題である憲法改正が、いよいよ現実のものとなった。

 第一次安倍政権は戦後レジュームからの脱却を掲げた。安倍は言う。「占領下で教育基本法と憲法が成立し、戦後体制が整った。いまだに続いているのは占領時代の残滓だ」(『朝日新聞』2006年9月8日)。「占領時代の残滓を払拭することが必要です。占領時代につくられた教育基本法、憲法をつくりかえていくこと、それは精神的にも占領時代を終わらせることになる」(自民党機関誌「自由新報」2005年1月4・10日号)。そして教育基本法の改正に成功した。残るは憲法である。第二次政権は当初96条改正を打ち上げたが、自民党寄りの憲法学者からも反対され、実現にはなお時間を要するとみたのか、正面からの憲法改正ではなく、「違憲立法」の策定や解釈改憲などによって実質的憲法改正へと舵を切った。それが、国家安全保障戦略室の設置であり、特定秘密保護法の制定であり、集団的自衛権の行使容認、武器輸出禁止三原則の緩和等である。

 そしていよいよ、2015年春以降、国会で安全保障法制が議論される予定である。アメリカと情報(秘密)を共有し、自衛隊を海外に派兵して、米軍とともに戦う「積極的平和主義」国家としての「強い日本」を作ることが、安倍首相の言う戦後レジュームからの脱却の実態である。軍事面のみならず経済面でも「強い日本」をつくるために、雇用の自由化や特区構想などあらゆる規制緩和を目指す新自由主義政策が強化されるであろう。そして、こうした「強い日本」を支える日本人の育成が安倍教育改革の課題となるであろう。

  このように安倍内閣は憲法に基づく平和と民主主義の基本姿勢を大きく転換しようとしている。こうした状況下、総研として平和教育はいかにあるべきか?  今年は戦後70年であり、広島、長崎の被爆70年の節目の年でもある。総研としては広島、長崎の原点を大切にしながら、戦争体験を継承していきたい。同時に、現代のグローバリゼーションによって生じている貧困や格差、差別や抑圧などの構造的暴力の視点からさらに平和学習を深めてゆきたい。

 

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