研究部会

2017年度 県教委教育予算説明会

15%研修削減、実感はあるか

 

5月30日、事務局・研究員12名が参加し、県議会会議室を会場に、2017年度県教育予算説明会が開催されました。県教委各課の担当者から、昨年3月策定の「石川の教育基本計画」に基づき、子どもたちの確かな学力の育成や教職員の資質能力の向上等を目指すため、適切な予算編成を行ったとし、新規事業を中心に説明を受けました。

参加者からは以下のような質疑が出されました。

(1)注目されたのは、「研修のボリューム削減により子どもと向き合う時間の確保」を行うとして、教育センター研修を中心に15%削減するとの提案です。その分、校内研修を充実させるとのことでしたが、現場教職員としてその実感があると思うかとの問いに、今は年度当初であり、年間通して受け止められるものとの見解が示されました。

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2016年度 11市9町教育予算等調査結果

専任司書やや増も非正規依然91%

 教育総研が発足以来続けている、県内自治体における教育予算等調査の結果が集約され、3月7日の第4回教育政策研究部会で検討協議を行いました。  2015年度決算にみる学校図書館図書費は自治体の努力で、国の基準財政需要額を達成する自治体(小中とも達成4市3町)が前年度比で1自治体減少したものの、全体的には予算配当が充実してきました。ただ、ここでも中学校への配当がさらに求められます。  2016年度図書館司書配置状況については、昨年未配置の1町が配置を決めたことで、すべての市町に配置が実現しました。また専任司書も昨年度より6名増加、すべて専任化している自治体は1町増え、4市1町となりました。一方では非正規職員が多数(91%)を占めていることが大きな課題であり、雇用の不安さに加え、待遇にも課題が残っています。  以下に分析と県内10市9町の比較データを掲載します。

2015年度決算における学校図書館図書費の自治体比較

1.経過

(1)2012年度から「学校図書館図書整備5カ年計画」(~2016年度)が始まり、蔵書整備で単年度約200億円、新聞配備で15億円、加えて学校図書館担当職員(司書、常勤または非常勤、教員やボランティア含まない)配置に約150億円(週30時間勤務で2校に1名配置が可能)が、いわゆる「一般財源」として措置されている。蔵書達成率は文科省が学校図書館に整備すべき蔵書の標準として、1993年3月、自治体の学級数ごとの計算式を定めている。これによれば、小学校18学級の場合、10,360冊、中学校15学級の場合、10,720冊となる。なお、文科省によれば、学校図書館図書達成率(2012年度)は小学校で56.8%、中学校で47.5%となっている。

(2)質問項目にある基準財政需要額については、国の地方交付税教育費の積算基礎、2014年度の学校図書館図書・新聞費は、小学校では標準施設(学級数18)1校あたり、608,000円となっており、1学級あたりでは約33,778円となる。したがって、当該市町における交付税措置額(A)は、次の算式で求められる。
   A=608千円/18学級×当該市町の学級数×補正係数

また、中学校では標準学級数は15,1校あたり825,000円となり、1学級では55,000円となる。補正係数とは自治体の自然的・社会的状況の違いから行政経費の差を反映させるために、割り増しや割落としを行う数値である。

(3)児童生徒1人あたりの図書費については、基準額を学級定数40人で割り算すれば、小学校で約845円、中学校は1375円となるが、平均的な学級人数はさらに少ないことから、教育総研では小学校1200円、中学校2000円を目安としてきた。学級人数が少ない過疎地域の学校では算定基準が学級数であることから、この数値は大きくなることとなり、予算措置も充実してきたことから、この数値を超える自治体が多くなっている。

2.自治体比較分析

(1)文科省基準による図書館蔵書達成率について、100%を超えている自治体は小学校で11市7町(2013年度8市6町、2012年度6市3町)、中学校では6市3町(2013年度4市3町、2012年度3市3町)と増加傾向にある。また、小中とも100%を達成しているのは、小松市、能美市、白山市、金沢市、かほく市、羽咋市、川北町、志賀町、中能登町の6市3町(2013年度4市3町、2012年度3市2町)となっており、ここでも増加傾向が顕著となっている。しかし、学校図書館司書配置が充実することで、廃棄が適正に行われれば、この達成率に影響する自治体が出てくることも考慮する必要がある。

(2)基準財政需要額に対する決算額割合の考え方は、国が基準を示して交付税措置をするとしている以上、100%を達成することが自治体に求められることになる。しかし、自治体にとっては、多種多様な項目に対応した交付税措置がなされているとの認識はなく、いわゆる「お金に色はついていない」と言われることから、自治体の判断で予算化される傾向がある。しかし、2014年度決算では、小中とも100%を達成した自治体は、昨年度より大幅に増加し、加賀市、小松市、白山市、金沢市、珠洲市、川北町の5市1町(2013年度白山市、川北町の1市1町)となり、手厚い予算配当が実現したと言える結果となった。

(3)1人あたりの図書費は、予算配当の充実した自治体や小規模校の多い自治体で、教育総研が設定した基準を満たしている。小中とも達成しているのは、加賀市、白山市、金沢市、輪島市、珠洲市、川北町、中能登町、穴水町の5市3町(2013年度5市4町)と前年度よりやや減少しているが、小学校では8市7町で達成が見られることから、中学校のさらなる予算配当が望まれる。

   2015年度末 自治体図書館図書費 (PDF)

 

2016年度 学校図書館司書の配置・比較分析

1.経過

(1)学校図書館司書配置の実態調査は、「いしかわ教育総研」発足の2002年度から実施しています。当時の年報によれば、「県内8市の実態調査を行ったが、松任市(現白山市)、加賀市、小松市に配置があるが、正規雇用職員は一部で、全校配置も少ない。その中で松任市は98年に市内13の小中学校すべてに配置がなされ、02年からは一部残っていた臨時雇用を解消し、すべてを正規雇用職員とする決定を行った。こうした配置は全国的にもきわめて異例と言われ、多くの視察も受け入れている。」との報告がなされています。

(2)1996年6月に学校図書館法の一部改正がなされ、2003年4月から12学級以上すべての公立学校に司書教諭が発令されることとなりました。しかし、同法2条2項「司書教諭は教諭を持って充てる」となっており、いわゆる「充て」司書教諭が発令されています。そのため、学校では学級担任等の通常勤務との兼務となり、図書館業務には手が回らない実態は解消されていません。

(3)2014年6月に再び、「学校図書館法の一部を改正する法律」が成立(2015.4施行)し、学校図書館司書が法的に位置づけられました。全国平均で半数の学校(文科省調査:2012年度、小学校47.8%、中学校48.2%)にしか司書配置がなされていない中で、この法改正は学校現場の要請が結実したものであり、運動の成果と言えます。文科省は先の「第4次学校図書館図書整備5カ年計画」で、この学校司書の配置に対し、週あたり30時間の職員をおおむね2校に1名程度配置可能な予算措置、単年度で150億円を措置しています。この予算は2015年度の場合、1校あたり約45万円に相当します。司書の全校配置を求める教育総研の運動にはまだまだ不十分な予算であり、結果的に自治体間の格差を生み出すこととなります。

(4)2016年10月25日付け(北陸中日新聞)の新聞報道によれば、文科省調査で、公立小中学校への司書配置は全体の6割未満(小学校約59%、中学校約57%)であり、前年度比で5%増にとどまっているとのことです。また、先進県としてほぼ100%の配置が小学校で島根・山梨、中学校で島根・鳥取が挙げられていますが、なぜか100%配置の石川県は取り上げられていません。

2.今年度の状況と課題

(1)教育総研が調査を始めて15年となり、14年度まで配置のなかった1つの自治体が10月に配置を行い、県内すべての市町での配置が実現しました。この間、教育総研のとりくみが自治体議会でも取り上げられ、マスコミ報道もされてきたことの成果と自負しています。昨年度は自治体ごとに専任を少しずつ増やす動きがあり、2名増の115人(正規15人、非正規100人)となり、今年度はさらに121人(正規18人、非正規103人)となりました。また、専任司書を配置している自治体は小松市、能美市、白山市、野々市市、志賀町の5市となり、志賀町が専任で全校を実現しました。

(2)司書の雇用状況も継続して調査していますが、依然、大多数(91%)が非正規職員で短時間勤務、有期雇用であり、一部に無資格者の雇用も見られます。一方で正規職員が雇用されているのは、能美市、白山市、川北町、津幡町で昨年度から宝達志水町が加わりました。この間白山市は約半数の正規雇用を確保しており、昨年度2名減となったものの、今年度5名増となりましたが、依然フルタイム勤務でも待遇に格差が生じている課題が残されています。

(3)司書が配置されることで、学校図書館をめぐる環境が劇的に変わります。教育総研で白山市の東明小学校の学校図書館を視察(12年度年報、HP参照)した際、司書の創意工夫が掲示物や図書棚の配置など環境整備に生かされており、司書教諭と連携して図書館教育を担っているとの報告を受けています。また、本の貸出数も大幅に増加することの成果が報告されていることから、引き続き「専任司書配置」「フルタイム勤務」「正規職員化」を訴えていく必要があります。

       2016年度 自治体学校図書館司書 (PDF)  

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2016年度 フィールドワーク・公開研究講座

戦争の不条理を改めて学ぶ

  

 9月25日、平和教育部会が主催する公開研究講座が金沢市内を会場に開催されました。

午前中は野田山・県戦没者墓園でフィールドワーク、30名が参加しました。講師は教育総研所長の田村光彰さん、テーマは「戦争と墓地」。この野田山には戊辰戦争(1868年)以降の戦死者が祀られており、全国的にも珍しいとのことでした。加賀藩は薩摩・長州藩の会津討伐に加わり、その戦没者がこの陸軍墓地の一角に多数残されていますが、すべて個々の遺族が造ったものとなっています。その後、日清(1894年)・日露戦争(1905年)を経て、特にロシア人捕虜を丁重に扱い、ロシア人墓地も残されています。しかし同時期の中国大陸の戦地では日本軍は捕虜を取ることはせず、虐殺事件を繰り返し起こしてきたとのことであり、対アジアと対西欧とでは扱いの違いがあったことが指摘されました。この時期からは政府が墓碑の建立に関わるようになり、この墓園では、それぞれの戦争ごとの墓碑が建ち並んでいますが、死後も階級別、戦死・病死別など扱いを分けていることも指摘されました。また、墓園に隣接して韓国の独立運動家・尹奉吉の暗葬碑があります。当時の朝鮮半島の植民地政策がどのような状況にあり、この行動をどう捉えるべきなのか、問題提起もありました。墓碑をめぐることで戦争の惨禍を考える貴重なフィールドワークになりました。

 午後は会場を変えて、公開研究講座を参加者50名で開催しました。講師は旧満州からの逃避行を、生き残った者の使命として語り部活動を続けられている「北陸満友会」会長の宮岸清衛さん。宮岸さんは10歳時に、ソ連国境付近の黒河からの家族と別れて列車を乗り継いで、日本にたどり着いた体験を語られました。侵攻したソ連兵の行状や「残留孤児」になるかどうかという体験を通し、旧満州に在住していた日本人を「棄民」した国の不条理を訴えられました。

後半は小松支部の沖谷嘉江さんから全国教研参加報告。広島への修学旅行を続け、担当を分掌に明記して学年ごとに系統的に平和学習を続けており、この取り組みは学年だよりを通して保護者にも共感を得ています。教育総研では昨年度、「今後の平和教育」について提言をまとめ、こうした実践の継承が課題としてきましたが、沖谷さんの報告で1つの方向を示すものとなりました。なお、今回のフィールドワーク、公開研究講座についても、本瑞昭(映こま主宰)さんにDVD化をお願いし、平和教材化を行い、HPには初めて動画としてUPしました。

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2016年度 防災教育で「提言」

2016年度の環境教育研究部会では、身近な環境に視点を当てたテーマを設定し、中でも今年度は熊本や鳥取で大規模な地震が発生したことから、「防災教育」を焦点化してきました。
最終研究部会で部会長起案の「提言」を確認しました。「提言」では、冒頭に石巻市立大川小学校の判決(2016.10.26)では、「想定を超える大きな災害であっても、児童生徒の避難誘導に教職員の責任がある」とされたことを取り上げています。また、各学校がおかれた環境を理解した上での学校防災計画や防災訓練の必要性、防災教育を通して地域環境を理解すること、そして「脅しの防災教育」からの脱却も指摘しています。この「提言」は教職員に向けたものですが、当然、行政や地域との協働が欠かせないことから、教育総研ではこの「提言」を教育委員会にも送付することとしています。

   2016環境部会提言 (PDF)

  

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