事務局

2019年度 市町教委「七尾市」訪問

少子化に対応した教育施策に腐心

 

 10月2日、教育総研が毎年開催している、県内市町の教育委員会訪問、今回は七尾市にお願いしました。教育総研から半沢英一共同代表他11名が参加し、予めお願いした課題に沿って、高絹子教育長から説明を受けました。

 まずは学校の統廃合、七尾市では1962年にピークの中学生6600人から2018年には1300人と大きく減少してくる。七尾市では小規模校が抱える弊害の解消のため、1学年3学級を目標に統廃合を進めてきており、この基準により、2018年4月から4校に統合されました。また小学校は2019年度から13校が現在10校となっているとのことでした。質疑の中で、深刻な少子化について理解はできるが、示された市検討委員会の考え方の中に、「競えない」という項目が示されているが、地域に学校を残すことより、「切磋琢磨」が優先課題になるのか、珠洲市のような義務教育学校という考え方がないのか、との質問も出されています。
 「教職員の多忙化改善」では、現状の改善をしなければ、教育水準を維持することすら困難になると考えており、当面は県の基準、3年後まで時間外勤務月80時間越えの教職員ゼロを目指し、七尾市では提出書類の簡素化や会議、研究指定の縮減、児童生徒が参加する事業の精選を進めている。学校では業務の平準化や、多忙化改善実践推進校を指定し、成果を共有していく。また部活動についても県が示した改善策を推進していると説明されました。参加者から、学校には教職員の意識改革が求められているが、現状は個々の努力では困難な状況ではないのか、県の示す80時間そのものが「過労死ライン」、との意見も出されました。
 「土曜授業」は、能都地区の数市町で実施されていましたが、今年度は七尾市のみとなっています。教育長は今年度より、年間8~10回実施してきたが、年間3回以上とした。土曜日は3限程度、小学校は5.6年生、中学校は全学年を対象としている。市として講師謝金も予算化している事業と説明されました。事業内容には講師を招く課外活動的なものも見られるが、授業参観や教科指導も入っており、教育課程内の授業も散見されます。教職員は勤務とされ、夏期に勤務の振り替えとのことで、先の「働き方改革」とは矛盾しないかとの意見も出されました。他の課題には「学力調査」への対応もあります。教育長は質問に答えて、「自校採点」は実施しており、早期の課題分析には意義はあるとの見解でした。

 懇談会に先立ち、例年教育施設を視察しています。今回は昨年10月に開館した「のと里山里海ミュージアム」を和田学館長に案内いただきました。広大な敷地に真新しい施設、コンセプトは「能登立国1300年の暮らし(自然、歴史、文化)の価値をふまえ、未来を創造する博物館」とのこと。能登全域を視野に入れた海とのかかわり、大地の歴史、特色ある祭りの紹介など、見応えのある展示であふれていました。

 

 

2019年度 県教育予算説明会

「多忙化対策」実効性ある取組は不十分

 
 

 6月4日、半沢所長を始め、事務局・研究員10名が参加し、県議会会議室を会場に、2019年度県教育予算説明会が開催されました。例年のように県教委からは庶務課や教職員課など各課から担当者に参加いただき、新規事業を中心に説明を受けました。その中で、昨年と同様に、「子どもたちと向き合う時間を十分確保するため」として、今年度も教職員の多忙化改善のとり組みを重要施策に挙げています。
 
 質疑に入り、県は昨年から「多忙化改善」に向けたモデル校を設置したことで、時間外労働80時間を越える事例が減少したとし、今年度はさらにICT支援員、部活動指導員、スクールサポートスタッフの拡充を図るとしています。参加者から、中教審は厳しいガイドラインを出しているが、この予算配置ではとても達成できるとは思えない。早く工程表を示さないと人材も集まらない、との指摘に県は「努力」をするとのと答弁に終始しました。また、スクールサポートの配置は現場で喜ばれているが、昨年度比で一人あたりの単価が下がっているとの問いに、今年度は市町で人材を集める方針であり、負担もお願いしているとの答弁がなされています。
 今年度、県は「いじめ・不登校等の取組」としてスクールカウンセラーを小中全校に配置拡充するとしています。参加者から、現場には統計数値以上の子ども達がいるとの指摘がある。背景には①細かな校則や過剰な生徒指導、②学力調査等の競争主義、③子供たちと向き合う時間の確保と少人数学級の立ち後れ、があるのではとの指摘があり、別の参加者からは「学力向上」対策のために、多忙化が加速している。今年も4月当初に10時間以上もテスト対策に費やされている事例や給食時間まで使われるなど、教職員の多忙化が結果的に子どもも追い詰めているとの指摘がありました。「トップを守る」ため、過去問指導などで子どもを追い詰めている、ぜひ見直すべきだとの意見も出されましたが、ここでも県担当者と現状認識に乖離が見られ、依然基礎学力調査への予算配置は変わっていません。
 「35人学級の推進」については今年も単独予算を見送っています。小学校5.6年生では習熟度別を推進していることに、県担当者は学級数が増えると授業コマ数が増加することで、持ち時数が増え、多忙化につながるとの見解を示し、ならば加配で対応しようとする姿勢は見られませんでした。市町では一貫して県への要望があり、教育現場でも「小学校3,4年生が選択制」になっている中、結果的にどの学校でも少人数学級を選択している実態を受け止めるべきだとの意見も出されました。

 その他、質疑がなされた課題は、新規として、新指導要領実施に向け、英語教育を金沢大学教授が巡回で助言を行う、またゼミ生も子どもとの英語によるやりとりに協力する事業。また、定時制高校での通級指導教室を1校から3校に拡充、モデル校では指導には支援校から兼務で教師が入り、さらに地域サポートも導入するとのこと。

 

2018年度 地教委視察「かほく市」訪問

少人数学級等積極的に人を配置

 10月10日、教育総研が毎年実施している、県内市町の教育委員会視察、今回はかほく市を訪問しました。教育総研からは田村光彰所長をはじめ12名に地元の塚本佐和子議員が参加、かほく市は事務局と山越充教育長、説明はすべて山越教育長が説明にたちました。
 かほく市は2004年に3町が合併し、現在(2018.4,1)人口が35,182人、小学校6校、中学校3校、児童生徒数は2,823人とのことです。まず重点教育施策として紹介されたのは、外国語教育対応策、小学校全学年で35人学級の実施、特別支援教育支援員の配置、全学校に学校コーディネーター配置など、単独予算による人員配置の事業でした。さらに、教職員の多忙化改善策として、時間外勤務時間を「対前年度10%の削減」「3年後に80時間超を0にする」とされました。
 質疑に入り、注目されている少人数学級については、市長が1番の施策にあげて、2013年度から5年生から実施し、14年度6年生に拡大してきました。現在は講師2名を雇用して実施、ただ、市採用講師は級外扱いとの制限があるものの、現場では喜んでもらっている。この事業はどこの教育現場からも強い要望があり、県内では他に白山市、内灘町で実施しているものの、やはり県が予算配置すべきと教育総研でも訴えてきています。 小学校に英語アシスタントを配置していることについて、雇用条件は市の臨時職員として英検2級取得者としているとのこと、新指導要領実施に向けてどの自治体も対応策が迫られている中、先進的取り組みとして評価の声が出されました。 他に教室へのエアコン設置については、5年計画で進めており、2020年度までに大規模改修に併せて完了したいとのこと、ただ教育長の私見として夏休み短縮の発言があり、議論となりました。また、学校コーディネーター(半日勤務の臨時職員)は学校行事の連絡調整や学校業務にも参加できるとしており、その成果に注目したい事業でした。多忙化改善の取り組みについては、県共通の対応策に加え、教育センター研修削減、会議等への出席依頼削減、市指定研究見直し等をとり組むものの、教育長自身も模索中とされました。かほく市の教育施策には、できるだけ現場の要望に対応しようとする積極的な姿勢が伺え、評価されるものでした。
 この懇談会の前に、教育委員会が所管する施設「石川県西田幾多郎記念哲学館」を視察しました。かほく市は当市出身の世界的哲学者である西田幾多郎博士を道徳教育で取り上げるとして、教材化や哲学館の見学を進めています。館では難解なテーマをできるだけ分かりやすく展示に工夫がなされていました。ただ、参加者からは光(功績)の強調だけではなく、影(戦争責任)の部分も取りあげて行くべきではないか、また同様に当市出身の鶴彬にも目を向けてはどうかとの意見も出されました。

 

2018年度 県教育予算説明会

長時間勤務改善、実感とまだまだかい離

 5月28日、事務局・研究員10名の参加で、県議会会議室を会場に、2018年度の県教育予算説明会を開催、県教委各課の参加で、新規事業を中心に説明を受けました。今年度は主要施策として、初めて教職員の長時間勤務が取り上げられ、「教職員が心身の健康を保ちながら教材研究・授業準備や子どもたちと向き合う時間を十分確保するため、教職員の多忙化改善に向けた取り組みを進める」とした課題が挙げられています。

 参加者からは、まずこの長時間労働改善にかかわる施策に質疑が集中しました。 ① 具体的には、モデル校を設置(小中高各3校)して業務改善の実践・検証する、部活動指導員配置48人・授業には携わらないスクールサポート30人をモデル配置する、としています。参加者からは、今年度は4月当初から講師不足で欠員からスタートした所もあると聞く。これは教育現場の状況にしり込みしているのではないか。またスタッフが配置されていない所の状況は変わっていない、県教委は3年後に超勤改善目標を設定しているが、達成できるとは思えない。現場では管理職が帰宅を促すようになっているものの、業務が減っていない中では持ち帰り仕事が増えるだけだ。との実態が明らかにされました。 ② 県教委は、実態として部活動指導が大きな要因となり中学校が長時間勤務となっている。また教頭や主幹などの中間管理職、若い世代への負担増などが特徴的との実態を明らかにしました。県教委として昨年度研修の15%削減を行い、さらに今年度初任研は3日、2年研は1.5日削減した。学校訪問の回数削減、研究推進校はほとんどなくした。現場には会議や学校行事の見直し、研究発表の紀要の簡略化や採点業務の時間確保なども求めているとしました。 ③ 今年も教育現場からは業務改善の実感があまり感じられないとの声が教育総研にも届いています。参加者からは学校現場に業務軽減の施策が伝わっていない、学校任せではなく、県教委が直接指導すべきではないか、学校閉庁日の対応も「勤務を要しない日」にならないのか、との意見も出されました。まだまだ建前と実態とのかい離、県教委の「本気度」に疑義がだされました。

 毎年指摘をしている全国学力調査に加え、県が進める基礎学力調査や評価問題の実施について、現場ではこの対策に依然時間が取られている。子どもにもネガティブな影響が出ており、教育という名に値しないと指摘が出されました。また、福井県では県議会が事態の見直しを提言している。石川県でも対応すべきだとの意見に、「評価問題」は2月実施分についてはウエブに掲載することにし、市町に実施の判断をまかせているが、12月分は従来通り(結果の報告を求めることも)実施したいとのこと。長時間労働と学力調査の関連は認めたくないとの姿勢は依然変わっていません。

 その他、新学習指導要領、特に英語教育対策として、3.4年生の英語活動、5.6年生の英語教育、中学校のオールイングリッシュによる授業を小中各9校のモデル校で実践研究するとしています。また、小学校3.4年生には選択制としながらも少人数学校を認め、依然5.6年生は習熟度別学級のみとしていることには、より効果的との立場を変えず、この項には単独予算は今年も0で、県教委として実施主体は国との説明を変えませんでした。

 

2017年度 地教委(小松市)視察

学校の「働き方改革」に前向き

 

 10月4日、教育総研の恒例行事である地教委視察を今年は小松市にお願いしました。教育総研からは田村所長を始め、9名が参加しました。
 冒頭に挨拶に立った石黒和彦教育長は、学力の定着向上策はあくまで人づくりの視点を大切にしている。また、教職員の「働き方改革」にとり組んでいるとして、「足し算・引き算」の視点で、子どもたちのために何かを足せば、その分何を引くか考えていく。中学校の超過勤務が平均82.7%となっており、2.7時間(3.3%)の業務改善にまず取り組むと述べられました。
 教育委員会事務局からの報告は、まず学力向上対策、全国学力調査結果は県内でも「概ね良好」、これからも授業改善をすすめ、「分かる授業」への取り組みを進めている。具体的には小規模校同士の連携を図る「学力向上パートナーシップ事業」、希望者を集めて、苦手単元克服をめざす「こまつチャレンジスクール」を土曜日に開催、講師に退職教員をお願いしている。2点目は「いじめ対策」。認知件数が増える現状で、市内の子どもたちが横断的に集まり話し合う、「中学生サミット」の取り組みが紹介されました。
 中でも最も時間を取ったのが「働き方改革」への取り組み。今年から実態把握は県統一の様式で行った、その結果、中学校の時間外勤務実態が明らかに、80時間越えが51.6%、その内30.3%が100時間を越えている。その要因が部活動にあるとして、毎週日曜日を休養日とした。そのことで子供たちの様子も変わってきたとのこと。教委として校外研修の削減や外部人材の活用に取り組み、各学校でも「ノー残業デー」の設定や会議のスリム化に取り組んでいる。「働き方改革」は「意識改革」との認識でとり組んでおり、市教委内に「業務改善対策チーム」を立ち上げていくとのことでした。
 質疑もこの「働き方改革」に集中し、「80時間超え」自体が問題で、80時間なら良いという問題ではないのではないかとの問いに、教育長はその認識だと答弁。部活動の日曜日休養の状況や効果については、大会もあることから、年間6回の上限を認め、必ず代替休養日を取ることとしている。子どもにとっても休養の大切さは科学的な裏付けもあり、従来の認識を変えねばならないと思っている、とは現場体験に基づく教育長の認識でした。業務改善の具体的例として、教委として担当者会を1/3に削減、学校の研究発表会への「動員」はやめにして、校内研究に切り替えた。また、2校をモデル校にして業務改善に取り組んでいる。また、質問に答えて、時間外勤務に学校間格差があることを認め、対策を講じていることや、新指導要領で謳われた小学校英語には、教えやすい教材開発と英語ボランティアの活用を図っていくことも紹介されました。
 限られた時間内での質疑でしたが、全国的な課題となっている教職員の働き方改革、小松市の本気度がうかがえるようでした。学校現場は課題山積、小松市教育長の掲げる「意識改革」、子どものためとして無制限に時間を費やしてきたことへの問い直しが求められていると思われます。

 後段は教育委員会が所管する「サイエンスヒルズこまつ」を視察しました。2014年全館がオープンし、2016年に入場者が30万人を突破しています。
「理科、科学大好き青少年を育成する」等のコンセプトで、コマツの広大な工場跡地の一部を活用し作られたユニークな施設、中心のドームではプラネタリウムや3Dシアターも上映されています。また、県内大学、宇宙・天文関連機関、小松市関連企業、と連携事業も進められ、興味ある講座も開催されているようです。学校には体験学習の呼びかけや定期的に講座も用意されており、ボランティアとして退職理科教員も係わっているとのことでした。理科離れが何かと問われる中で、こうした拠点施設があることがすばらしい!参加の自治体議員も大いに感動していました。

 

2017年度 県教委教育予算説明会

15%研修削減、実感はあるか

 

5月30日、事務局・研究員12名が参加し、県議会会議室を会場に、2017年度県教育予算説明会が開催されました。県教委各課の担当者から、昨年3月策定の「石川の教育基本計画」に基づき、子どもたちの確かな学力の育成や教職員の資質能力の向上等を目指すため、適切な予算編成を行ったとし、新規事業を中心に説明を受けました。

参加者からは以下のような質疑が出されました。

(1)注目されたのは、「研修のボリューム削減により子どもと向き合う時間の確保」を行うとして、教育センター研修を中心に15%削減するとの提案です。その分、校内研修を充実させるとのことでしたが、現場教職員としてその実感があると思うかとの問いに、今は年度当初であり、年間通して受け止められるものとの見解が示されました。

(2)石川県は今後10年で半数が入れ替わる状況にあり、この世代交代を乗り切るため、教育センターを教員総合研修センターに改組、いしかわ師範塾との連携を打ち出しています。この師範塾、実質的な採用前研修にあたり、説明パンフには受講すると採用に有利と受け取れる表記が見られるとの、指摘を行いましたが、県教委は実践的な指導力を養成するものであり、採用枠を作っているものではないとしました。ただ、すでに現場で多忙な業務をこなしている講師が不利な状況にならないよう要望を出しました。

(3)今年も「学力向上プログラム」の推進として、評価問題の作成が予算化されています。この間、教育総研として全国学力調査に対する、県ぐるみの事前テストと指摘してきました。12月、2月の2回のうち、特に12月実施の評価問題は「学校査定」に使われており、現場では「事前テストのための事前学習」が実施されていることに見解を求めましたが、県教委として把握していないとの立場を崩しませんでした。参加者からは長時間労働を引き起こす最大要因がこの学力向上策であるとの指摘を行いました。 (4)今年度も依然、国の事業の活用で、小学校3,4年生は習熟度別授業と35人学級の選択制、5,6年生は習熟度別授業のみとされています。参加者からは5年生に不登校が多くなっていることをどう考えるのか、せめて選択制にすべきではないかと指摘しました。県教委は国の事業として実施してほしいとし、現場の切実な要望があっても予算配置をしない県の姿勢が問われます。

(5)その他、以下のような質疑がありました。

  1. 新指導要領に基づき、アクティブラーニングを取り入れた授業研究として、小中高に推進校が指定されています。この授業法、準備に大変時間がかかることがすでに明らかになっており、加配をしない限り学校現場は動かないことを指摘しました。
  2. 新指導要領に伴う小学校の英語授業の充実に、先行実施の推進校を指定しています。しかし、県教委は小学校には英語専科を配置せず、担任が対応するとしています。担任の負担増に加え、子どもの「英語嫌い」が増幅されないか懸念があります。

 

2016年度 教育委員会への視察

輪島市:土曜授業、学力調査公開その意義は

 

 10月17日、教育総研が年1回実施する教育委員会視察として、輪島市を訪問しました。教育総研からは田村光彰所長をはじめ、11名が参加、輪島市からは吉岡邦男教育長、松山真由美教育部長に対応していただきました。特に吉岡教育長は組合役員も経験され、参加した研究員とも面識があることから、最後まで気さくに懇談に参加していただきました。  懇談テーマの1つは「土曜授業」です。説明された事業内容は、「年10回各学校で計画、教育課程内に位置づける、小学校は3~6年の担任、中学校は教科担当が中心に対応。外部人材も登用し、TT指導や習熟度別指導を実施、教職員の勤務は長期休業等に振り替える」というものでした。成果として「分からないところが分かるようになった、英語のアルファベットが書けるようになった、英検合格者が増加した」等があげられています。

教育総研では教育課程内に位置付ける意義は何か、内容が学力向上策に傾斜していないのか、教職員の勤務の割り振りが確保されているのか、など、現場の実態調査を踏まえた課題を提起してきました。参加した研究員からは、文科省の要項には学力には特化しない「土曜活動」も例示されているのではないか、との指摘を行いましたが、教育長は子どもたちには、生きるための回路を見つけるため学力は身につけさせたいので、この体制を続けたいと言明しました。  2つ目のテーマは「学力調査の公表」です。その効果を「教育への関心が高まり、連携と協働のきっかけとなる、点数だけではなく、学習・生活の状況を知らせており、学校と家庭の連携が深まる」としています。その結果は学校が「学校だより」を通じて、市教委は11月にセミナーを開催して説明している、とのことでした。参加者から、「過去問」実施への疑義や公表が「過度の競争」につながらないか、との問いに、「情報は公開すべきだ、井の中の蛙になってはいけない、過去問もどのような能力が求められているか、先生自らもやってみるべきだ」とし、また、質問に応えて「個人が特定できるような公表はしていない」とのことでした。

他に、輪島市がH24(2012)から始めている「テレビ寺子屋」事業、ケーブルテレビを活用した教育番組の紹介もありました。市内の教員が制作しており、工夫された内容がうかがえましたが、契約家庭が多くないこともあり、視聴率が上がらないことが課題であり、DVD化して活用を促しているとのことでした。

懇談全般を通じて、事業の背景には能登地区が抱えている過疎化と子どもたちの人数減という事態にどう対応すべきか腐心されており、その中で吉岡教育長のリーダーシップが前面に出された教育施策との印象を強く持ちました。なお、懇談後は教育委員会が所管する施設として、県立輪島漆芸美術館を案内いただきました。輪島塗の歴史、制作工程、貴重な所蔵品の説明、そして市内子どもたちへの体験学習の事業など、学芸員さんに丁寧に説明をいただきました。

 

2016年度 県教委教育予算説明会

文科省通知への対応を求め、質疑相次ぐ

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5月24日、事務局・研究員14名が参加し、議会会議室を会場に、2016年度県教育予算説明会が開催されました。県教委からは新任の教育長の元、3月策定の「石川の教育基本計画」に基づき、確かな学力の育成や未来を拓く心豊かな人づくりに向け、現場主義で予算編成を行ったとし、概要については新規事業を中心に説明を受けました。

参加者からは以下のような質疑がなされました。

(1)先月の文科大臣発言を受け、「全国学力調査への適切な取り組みをもとめる通知」が出されている。今年も「評価問題の作成」として予算計上がされているが、この通知との関係をどう考えれば良いのか。また、国の採点結果を待たずに自校採点もなされているなど、2度手間になっている。との問いかけに、県教委は「あくまで子どもたちの学力の定着が目的であり、地教委の要望により実施されているものだ。」とし、通知の趣旨とは違うとの見解を示しました。また、昨年度から2回目の評価問題が実施され、今年度も全ての市町から実施の要望を受けていることも明らかにし、県教委主導ではないことを強調しました。この間、地教委が域内の学校にいわゆる「過去問」実施の指示を出していることは知らないとの立場を取っていますが、今回の文科省通知はそうした実態把握を県教委に求めており、今後の対応を注視したいものです。

(2)「土曜日の教育活動の推進」として、昨年度より予算が増額されており、土曜授業の復活を懸念している、との質問に、県教委は商業や工業高校の資格取得や外部講師を招いた学習をしている。今年は中学生を対象に能登・金沢・加賀地区で希望者による英語学習の機会を土曜日に持つ新規事業を計画している、との説明がなされましたが、昨年度から地教委独自に実施の動きが出始めており、これが学力向上に特化されるようなことがないか引き続き調査が必要です。

(3)今年度も県教委は国の事業の活用で、小学校3,4年生は習熟度別授業と35人学級の選択制、5,6年生は習熟度別授業のみとされ、県独自予算は計上されていません。参加者からは教育現場で最も要望が大きいのは、少人数学級だとの認識はあるのかと質問が出されました。県教委は実際に該当校すべてが35人学級を選択していることから、要望は理解しているが、加配の予算要求が認められないことを明らかにしました。全国的には秋田・山形・福井など独自に事業を展開している所もあり、石川県の姿勢が問われます。

その他、以下のような意見が出されました。

① 奥能登地区で地域に縁のない新規採用者が住宅確保に苦労していると聞くが便宜を図ることができないのか。②「学びの力」をつけると言われるが、それが目に見える学力に矮小化されていることが悲しい。現場では圧迫感を受けており、スクールカウンセラーの配置と言っても、マッチポンプのような気がする。③ 現場の皆さんは多忙化で疲労が増している。地教委では研修や事務作業の軽減を始めている所も出ているが、この予算にはそうした配慮がなされていないのではないか。

 

 

2015年度 教育委員会への視察

川北町・地域性を生かす学校づくりに多様な取り組み

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 10月1日、地教委視察として川北町教育委員会を訪問、田村所長をはじめ12名が参加しました。これは教育総研が毎年続けてきた事業であり、県内11市8町のうち、市はすでに2巡目に入っており、町では川北町が6番目となりました。

この川北町、日本創世会議(増田寬也・座長)の試算によれば、2040年までの若年女性人口(20~39歳)は全国半数以上(896市町村)の自治体で減少が見込まれ、県内自治体もすべてが減少する中で、この川北町だけは増加率15.8%予想で、全国1位となっています。その背景には積極的な企業誘致による、豊かな財政力で、医療費の無料化(18歳まで、75歳以上、1人親家庭)など、「教育・福祉に優しい町」を目指し、子育て環境の充実整備を進めていることがあります。 現在人口は6280人、町制施行の1980年比で44.8%増になっています。

冒頭に挨拶された室谷教育長は①学力向上として、とくに英語に力を入れたい。②これまで進めてきた体験学習を生かした「土曜学習」実施を考えていきたい。③地域との連携・交流により、人づくりを進め、将来帰って来られるような町づくりを進めたい、今年度で空調や耐震化の整備が終わり、これからソフト面を地域の方とともに進めたい、との抱負を語られました。

教育施策の説明に立った山本学校教育課長は、質疑の中で、①「小規模校でも統廃合を考えていない」については、小規模校でも児童数の増加傾向にあるし、地域交流を積極的に行っていることから、そういう声は出ていない。②「財政力があることで、保護者からの要望が多くないか」については、段階的に予算配当しており、すべてを聞いているわけではない。③「教育長も全国学力調査について言及していない」については、学校別の結果公表はしていないが、県・国より上だ。町として子育て経費を充実していることで、その分、塾に行くなどの経費に充てることもあるだろう。④「町の事業である小中学生を対象の青少年講座の参加状況」については、平均して20名程度3割くらい、最近はジュニアスポーツに流れる傾向があるが、今後土曜学習につなげていきたい。その他、給食は県内初の完全米飯を実施し、今は町内産のコシヒカリ1等米を使っている。夏休み中に実施の体験学習に全教職員にも参加要請していることが、教職員の過重負担になっていないのか、など質問も出されました。

川北町といえば、財政力のある自治体で有名、教室エアコンの整備などのハード面、特別支援教育支援員の全校配置など人的整備も進んでいます。それ以上に、「特色ある学校づくり推進事業」として、その学校にしかできない事業にとり組むよう、町が補助していることが特徴的でした。懇談後、教育委員会の所管施設である「サンアリーナ川北」を視察、人工芝でテニスコートが3面とれる築20年の屋内体育場、昨年度は3万人が利用する人気施設とのことでした。

 

2015年度 さらなる学力向上施策に懸念表明

1505 教育予算(3)5月29日、事務局、研究員が11名参加し、2015年度県教育予算説明会が開催されました。県教委からは予算編成のポイントを「教育をめぐる様々な課題に対応するため、確かな学力の育成や教員の資質・能力の向上など、必要な諸施策を積極的に展開する」とし、新規事業を中心に説明がなされました。参加者からは以下のような質疑がなされました。

① 学びの組織的実践の推進として、拠点校・連携校として小中学校を70校指定、学校指導員を5名配置している。県教委の説明によれば、石川県は全国学力調査で上位にあるが、まだ地域間、学校間にバラツキがある。そのため、前市町に拠点校を設け、連携校とともに、子どもの学力向上、教師の指導力向上を図る。そのために指導員として退職校長を充てるとのことでした。

質疑で「バラツキはある意味当たり前のことだ、次々打ち出される学力向上策で、教育現場がますます疲弊することを心配するが、そうした認識は県教委にはなかったのか」との質問を投げかけましたが、答弁はありませんでした。例年12月に実施される「評価問題」も予算拡充がなされており、今後とも動向には注視せねばなりません。

②     土曜日の教育活動推進という事業が大幅に予算増となっています。県教委は「土曜授業」と「土曜学習」を使い分け、所管も別になっています。この内、土曜学習は6市町23カ所が推進指定され、地域の人材を活用した活動がなされるとのことでした。一方、土曜授業は県立高校3校と、1市町(輪島市)が指定を受けています。しかし、実態として拡大の傾向が見られます。県教委の把握では、他に金沢・七尾市、中能登、津幡、宝達志水町が独自に推進しているとのことでした。この土曜授業は結局「学力向上」の名の下で、教科授業を行い、教職員が担当するとの実態があり、教育総研でも問題視しているところです。

③    今年も奨学金需要に対応するとして、新規貸与枠400人分が予算化されています。この事業に「未収金回収業務の民間委託」が新規となっています。県教委によれば、一時期未回収金は6000万円を超えたが、今は5200万円程度、増えてはいないが、減ってもいない。職員では対応ができない状況にあるとのこと。民間委託で事務的に対応することの是非は、議論のあるところですが、一方で給付型の奨学金も増額されていることは評価されます。

④    その他、参加者から指摘・要望があった項目は以下の通りです。インクルーシブ教育の推進としながら、予算は特別支援校に特化されているのではないか。「きめ細かな指導体制の充実」とあるが、依然として現場からの要望が大きい少人数学級に予算が付いていない。通級指導教室の拡大、栄養教諭の計画的な配置の項目が見えるが、拡大と言っても僅かだ。現場ではニーズが大きくなっており、さらなる増員を期待したい。また、要望として道徳教育推進リーダー養成研修が新規事業となっている。文科省版「私たちの道徳」には問題があり、これを基準として頂きたくない。これについては担当者が不在で明確な答弁がありませんでした。

 

2014年度 津幡町へ教育委員会懇談と視察

いしかわ教育総研が毎年実施している町村教育委員会訪問と教育施設視察、今年度は11月27日に津幡町にお願いしました。参加者は所長・事務局・研究員11名になりました。津幡町はこの9月に「教育振興基本計画」を策定したばかりとのことから、教育総務、学校教育、生涯教育のそれぞれの所管より、重点施策の説明を受けました。

1410津幡1質疑の中で重点的に議論されたこととして、1つは「土曜授業」の導入です。町教委として今年6月に町民アンケートを採った結果、75%の支持があったことから、来年度から学期1回のペースで始めたいとのことでした。ただ、学校には学力向上を期待するとの説明に対して、参加者からは「本来社会活動の一環で自由参加のものだが、授業ということになれば義務とはならないか、職員の服務の問題も懸念される」、「保護者は狭い意味での学力を期待していない、様々な体験をする機会にしてほしい」等、他の自治体への波及も懸念する意見が出されました。

注目されたのは「科学のまち」を推進し、科学教育・活動を展開するというものでした。すでに10月に町内空き店舗を活用した「まちなか科学館」をオープンさせ、科学をテーマとした公園整備も行うとのことでした。なぜ科学なのか?という質問に対し、科学を学習するには、算数力、国語力、そして英語力も必要になる、この科学を切り口とした町づくりで、教育全体の底上げをしたい。将来関連施設を充実させ、交流人口の拡大や修学旅行の誘致も考えたいとのことでした。

津幡町に限らず、県教委に倣い、各自治体の教育方針に「確かな学力」の定着が目標に掲げられ、その判断の目安がやはり全国学力学習状況調査の結果となっています。教育総研が「豊かな学力」を提起しているのは、過剰ともいえる学力競争を危惧していることにあります。津幡町の多種多様な取り組みが、子どもたちを主人公とする施策になるよう改めて期待するものです。

教育委員会事務局は文化会館シグナス(「はくちょう座」の意)に入居しています。懇談会後に施設視察をさせていただきました。大ホールは802席で、音響に配慮された設計とステージは十分に広く、客席との近さを感じました。また町立図書館や児童館も併設された複合施設となっており、図書館では、今後学校図書館との連携を目指し、相互閲覧が可能になるよう努めるとのことでした。また正面には大河ドラマ誘致の期待を込めた木曽義仲や科学の町にちなむコーナーが設置されており、町の教育・文化の拠点としての役割が果たされているようでした。

 

2014年度 県教委による教育予算説明会

145 県教委15月28日、事務局員、研究員が16名参加し、2014年度教育予算説明会が開催されました。県教委すべての担当課が参加する中、まず、重点施策として以下のような説明がなされました。

・子どもたちの確かな学力を育成するため、中長期的指針である「いしかわ学びの指針12か条」の実践を進める。

・「いしかわ師範塾」の対象を現職教員に拡大し、次世代の中核的リーダーの育成を図る。

・いじめ防止対策推進法を踏まえ、いじめを見逃さない学校づくりを進め、他人への思いやり、規範意識など子どもの豊かな人間性をはぐくむため、道徳教育の充実をはかる。

新規事業を中心に説明がなされた後、参加者から以下のような質疑がなされました。

①    キャリア教育の推進を謳っているが、依然若者の非正規は拡大している。様々なリスクに対応した教育がなされていないのでは。

→(県教委)「若者サポートブック」を発行し、相談窓口も開設しながら、早期離職に対応していきたい。

②    悉皆研究として「20年経験者研修」を実施するとのことだが、子どもと向き合う時間がさらに無くなることを危惧するし、全国状況はどうなっているのか。

→(県教委)47~50歳の教職員が多く、この10年で半数が入れ替わる状況にある。その意味で将来の管理職を担う人材が必要だ。他県の状況は把握していない。

③    奥能登の学校から研修参加は往復時間でも大変である。聞けば講演だけ聞いて終わりの研修もあるという。どうにかならないのか。

→(県教委)講師を現地に派遣するようなことを検討している。

④    一昨年より、県が実施している全国学力調査を意図した「評価問題」は、学校に大きな負担を強いているという実態を把握しているのか。

→(県教委)「活用力」を伸ばすため、学校が独自に分析できる客観的なものがほしいと、市町から要望があったものだ。県からしなさいというものではなく、うまく使ってほしい。

⑤    土曜授業の推進とあるが、県教委がこれから進めていこうとしているのか。

→(県教委)国のモデル事業を検証するもので、高校3校は実業高校であり、専門的なスキル高める授業をおこなっている。輪島市は数学・英語を中心に授業を行うとして、国費を活用するものだ。他の地区は検討中と答えており、県としてしなさいとは言えない。

他に、インクルーシブ教育について、事態は動いている中で、県の考え方は旧態依然としているのではないか。小学校5,6年生、中学2.3年生についても、近県のように県費を入れて実施すべきだ、学校現場の要望は大きい。「師範塾」を現場教員に拡大とあるが、その講師は時間外にも準備が必要との声を聞いている。等の意見が出された。

 

予定された時間を超えるような質疑が続き、改めて課題が多いことが認識されるとともに、県教委として事業が学校現場でどのように受け止められているのかの検証が不十分との印象を持ちました。

 

 

小中一貫教育に質問集中(総研の地教委訪問)

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10月9日、台風の接近で心配されましたが、総研の恒例行事「地教委訪問と現地視察」を開催しました。総研も12年目で、県内11市も昨年の白山市から2巡目に入り、今年は金沢市教育委員会に視察をお願いしました。対応していただいたのは野村豊・教育次長、上寺武志・学校指導課担当課長、今村外志美・主席指導主事の皆さん、総研からは研究員14名が参加しました。

 説明の「学校教育金沢モデル」4本の柱の内、質疑の中心となったのは「小中一貫教育」。2013(H25)年度より「全小中学校において、9年間を見通した連続性・系統性のある教育活動を展開することにより、各中学校区の特色を伸ばすとともに、課題を解決することを目的とする」と説明されました。総研研究員からは、①制度としては認められていないが「特区」という位置づけなのか。②中学校の選択制が見直されるとのことだが、関連あるのか。③将来的に一貫校の設置を考えているのか。④教員の相互乗り入れがあるのか。⑤教育課程づくりをもとめることで、現場に無用な負担がかからないか。等の質問が出され、「一貫校は設置せず、あくまで一貫教育であり、小中間は授業研究での交流を行う。中学校選択制はこれとは別に、2年かけて検討を行っていく。全般的な教育課程づくりは難しく、道徳など特定のものから始める。」等の説明がなされました。

次に、2学期制が来年度より見直され、成果を引き継ぐとされるが、むしろ課題が多かったのでは、という質問については、「長いスパンの中で、きめ細かい評価ができにくい、通常の通知表と学校で用意する『到達度連絡票』との違いが明確にならなかった。中学校では部活の大会等で、他地域との調整が難しいとの声があった。」などの説明がありました。他に、「金沢市は学級の規模が大きい、独自に30人学級を追求するなどの考え方はないのか。」という質問には、「県を通して要求しているし、独自には特別活動支援員を毎年増やしている。」とのことでした。
他に、小中一環英語教育、学習指導基準金沢スタンダードも話題になりましたが、限られた時間の中では十分な質疑はできませんでした。いずれにしても金沢市の動向は広く県内の教育施策への影響は避けられないことから、これからも注視していきたいものです。

 「金沢海みらい図書館」を現地視察にお願いしました。説明をいただいたのは小松浩人・館長補佐。西部地区を対象エリアとし、地域交流の拠点との位置づけで2011年5月にオープン、そのユニークな建築様式から、各種の建築賞を受け、米国ウェブサイトの「世界で最も美しい公共図書館25」にも選出されたとのことです。内部は6000個の丸窓が「木漏れ日」をイメージする柔らかい明るさをもたらしています。新しい設備として、①自動貸し出し機が使えるICタグの導入、②自動化書庫の導入、③無断持ち出しチェック機能(BDS)の導入。開館1年4ヶ月で100万人の入館者、昨年度末で160万以上の貸出冊数がありました。全国的に公立図書館の在り方が注目される中、ぜひ訪れていただきたい施設ではないかと思います。

 

県教育予算説明会、「石川の教育振興基本計画」を具体化

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 5月29日、教育総研として今年も、県教委による教育予算説明会を開催しました。この場には、県教委のすべての担当課が参加する形で、本年度の重点施策や新規事業について説明を受けました。

  
学力向上と教員の資質向上を重点化

県教委は、冒頭に以下のような重点施策を挙げました。
(1)    子どもたちの確かな学力を育成するため、「活用力」の育成に向けた取組を充実させる。
(2)    いじめを見逃さない学校づくりとして、道徳教育や体験活動の充実をはかる。
(3)    「いしかわ師範塾」を開校し、教員志望大学生等を対象に、養成段階における実践的な指導力向上を図る。

 また、新規事業として、以下のような事業の紹介がなされました。
①     児童・生徒の課題発見力の育成」として、フィンランド教育関係者を招へいしてワークショップを実施し、討論型・探求型指導法の実践研究のため、小中高11校の推進校を指定する。
②    「高校における職業英会話力の育成」として、工業・商業の専門用語などに対応した教材・指導法を開発し、一部の授業を英語で行う。
③    キャリア教育の推進として、未来の職業人プロジェクトの実施のため、起業的教育活動を創出する。
④    「いじめ・不登校等への取組」として、いじめ対策チームの対応力向上研修やフォーラムを開催する。
⑤    「教員の資質・能力の向上」として、大学生だけでなく、講師も対象とし、退職者により、少人数で手厚い指導を行う「いしかわ師範塾」を開講する。

 多忙化解消の手立てを質す意見が続出
総研研究員からは、次のような意見・要望が出されました。

①    読書活動の推進事業の一方で、「学力向上プログラム」の推進として、昨年12月に突然に県作成の「評価問題」というテストが実施された。こうしたテスト体制が読書活動事業の阻害にならないのか。
②    少人数学級が選択制とは言え、小学校4年生まで実施されている。他県の先進例を見ると、すでに6年生まで拡大されている所も少なくない。中学校1年生も趣旨の違いはあるが、少人数学級が始まっている。いずれにしても現場の要望の大きい事業であり、なぜ単独での予算化がされないのか。
③    初任者研修のために、奥能登から金沢の教育センターへ研修に出なければならず、負担が大きいとの声を聞くが、対応できないのか。

県教委は、答弁の中で「評価問題」というテストはあくまで、市町の要望があったため、問題作成のみを県が担当したもので、学校現場がどう対応したかは市町の判断でなされているとの説明に終始しました。いずれの質問についても、教育現場の多忙化に拍車をかけるものとの指摘であり、予算配置にそうした配慮はきわめて少ないと言えます。また、その他の質問として、県立学校の耐震化事業に11億円余が計上されているが、現在耐震化率は学校施設で90%、H27年度までには100%にしたいとの説明もなされました。

 

 「いしかわ教育総研」研究年報11号の発刊にあたって(PDF:144KB)

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       いしかわ教育総合研究所
     所長  田村 光彰

 

2013年度 「いしかわ教育総研」研究主題が決まる

(1)  教育施策・予算・課題などについて広範に調査・分析・研究を行う。
(2)  憲法・子どもの権利条約の理念を具体化するため、研究を深める。
(3)  教育現場における、競争原理や子どもの貧困などから派生する課題を研究する。
(4)  人権・平和・環境をめぐる情勢を的確に把握し、その課題・施策を研究する。また、教研活動と連携し、実践を紹介する。
(5)  3.11東日本大震災・福島第1原発事故に関わる課題を各研究部会で共有し、研究を進める。
(6)  公開研究講座、フィールドワークなどの開催や教育行政への視察を行い、教育情勢の今日的課題の把握に努める。
(7)  ホームページの充実に努め、組合員への的確な情報提供を行う。

 

2013年度「いしかわ教育総研」スタート

4月10日、統括事務局会を開催、ここでは各研究部会の事務局代表が集まり、教育総研全体の運営を検討することになります。
第1回のこの日、田村光彰・所長のもと、新メンバーも集まり、今年度の研究方針や年間計画を検討しました。

【詳しい情報】

 

 

 

 

 

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