活動報告

    2002年に発足した「いしかわ教育総合研究所」(略称・教育総研)は、今年度で17年目を迎えました。石川県教組のシンクタンクとして、組合員に向けた情報提供を中心として活動を始めましたが、近年は県内の様々な市民団体の皆さんとの繋がりも多くなり、支援も頂くようになりました。教育現場では過剰な勤務実態がようやく注目されるようになり、社会的な関心も高くなっています。現政権が「教育再生」の名の下に進めている政策が、子どもたちに何を求めているのか、教育総研は今年も、「教育政策」「平和教育」「環境教育」の3つの部会を通して、課題の研究・分析、そして公開の学習会も開催しながら、市民の皆さんにもその問題点を明らかにしていくこととしています。
 4月13日、第1回の事務局会を開催し、田村光彰所長を始め、各部内の事務局長・事務局次長が参加し、年間の活動計画を確認しました。このホームページを引き続き活用し、活動紹介を行いますので、本年度もご支援やご意見を寄せていただくようお願いします。

 

 

 県内各地教委への教育予算等調査の分析結果について、第4回研究部会で協議を行い、3月中に協力をいただいた11市8町の教育委員会に発送しました。

   「子どもの貧困」問題にかかわり、本県でも一貫して就学援助率が上昇傾向にある中、ここ数年は下げ止まり傾向になっています。2017年度は県内受給者の半数を占める金沢市が数値を下げていることがその原因と考えられます。ただ、10%を超える自治体が小学校で6市町、中学校で11市町と中学校で大きな数値となっています。
 自治体独自の奨学金制度については、国の貸与型奨学金の返済が社会問題化している中、県内では15自治体が制度を持ち、その内9自治体が「給付型」を実施しています。未設置は4自治体と変わらず、制度設立と「給付型」への移行を求めねばなりません。

 教育総研が発足以来とり組んでいる学校図書館図書費は自治体の努力が見られるものの、国の基準財政需要額を達成する自治体は前年と同様に7市町となっており、やや固定化状況を示しています。ここでも中学校への配当がさらに求められます。
 図書館司書配置状況については、一昨年未配置の1町が配置を決めたことで、すべての市町に配置が実現しました。しかし、専任配置数については今年度やや減少となりました。これは小松市が5名を2校兼務にしたことが大きく影響しています。県内では5市町がすべて専任化しており、中能登町が新たに専任で全校配置を実現しました。一方、依然非正規職員が多数(89.6%)を占めており、7市町が雇用の際に資格を条件としていません。このことが雇用条件に影響していないか検証が必要です。教育総研では今後とも「専任」「フルタイム勤務」「正規雇用」を自治体に働きかけ続けて行きます。
 なお、詳細データについては研究部会「教育政策」サイトに掲載します。

   

  3月4日(日)、「子どもと教育を考える加賀市民の会」(以下:市民の会)が主催する学習会が開催されました。今回は2018年度から加賀市の小学生が使用する道徳教科書が、教育委員会でどのような議論を経て採択されたのか、非公開とされた教育委員会の議事録をもとに音読形式で再現されました。特に加賀市では、採択委員会で、第1候補「光文書院」、第2候補「日本文教出版」とされたものの、結果的に「教育出版」に決定されたことが問題視されてきました。この「教育出版」教科書があの中学校社会科育鵬社教科書の編集員が関わっていることが明らかになっており、掲載教材に批判が出されていました。学習会の中で音読が進められ、ある特定の教育委員から教育出版を推薦する発言が繰り返され、進行役の教育長が採択への流れを作っていく過程が明らかになりました。結果的に採決3:1(教育長は採決に不参加)で採択と、言わば教育委員の独断で採択されたことになりました。市民の会では育鵬社教科書から続くこの事態を重大な問題と捉えており、来年度の中学校道徳教科書の際にも同様のことが繰り返されないよう、運動を強めたいとの確認が改めてなされました。
 また、同日同時刻に「子ども未来☆教科書@かなざわ」(略称:こみきょー)もこの小学校道徳教科書採択時の教育委員会議事録の音読会を行っています。金沢市は結果的に研究員や採択委員会での意見が尊重された採択となっていますが、音読を聞いた参加者からは教育委員の価値観が反映されることになり、どんな人が選ばれるのかが大切だ、との感想が寄せられています。

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2月21日、第4回の環境教育、3月1日、平和教育のそれぞれ研究部会が開催されました。ともに今年度の総括を確認し、現職組合員に向けた「提言」について協議しました。
 まず、環境教育提言では、青木賢人・部会長から、「身近な環境を理解することが防災教育につながります」との提言を受けました。当部会では2015年度には身近な環境に注目した環境教育の勧め、2016年度は環境教育と防災教育の連携の勧め、(それぞれ教育総研HPに掲載)を行ってきています。今年度の提言は頻発する自然災害(石川県も決して例外ではない)に対し、教職員が常に新しい情報に対する感度を高く持ち、災害を「自分ごと」として感ずる必要があると指摘されました。
 現場では何から、どこから手を付ければ良いか分からないとの声があり、今回は過去2年間の提言を補完する意味で、地域の災害やその背景となる環境を理解するために公開されている様々なデータに関する情報提供を行うこととしました。提言で紹介された様々なデータについては、別途研究部会・環境教育サイトに掲載しますので参照下さい。

掲載例、【現在の地域の自然の特徴を把握する】として、
〇土地条件図・治水地形分類図 https://maps.gsi.go.jp/
【地震・津波関連】として、
〇都市圏活断層図                  https://maps.gsi.go.jp/ など、
多様で興味深い情報が紹介され、URLから直接そのHPに入れるようにしています。

 

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   2月26日、今年度最後となる4回教育政策研究部会が開催されました。今回は部会の研究課題の1つ、「子どもの貧困」施策として、金沢市内で「こども食堂・かなざわっ子nikoniko倶楽部」にとり組む喜成清恵さんを講師として迎えました。喜成さんはまず、「こども食堂」とは、「子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」であり、決して貧困家庭の子どもばかりを集めるのではなく、子どもだけのものでもない。金沢市内にはすでに8カ所活動しているが、それぞれに特色があると紹介。参加研究員には県内各地からの参加もあり、立ち上げにはどのような形で運営したいのか、何を目指すのかを明確にすべきと指摘されました。全国には高知県や滋賀県のように、県が予算付けして推進しているところもあるが、財政的な問題はあるが民間で実施することにも意義はある、「地域で貧困・困窮家庭を支え合える」「行政に届きにくい声が拾える」「教師を子どもの家庭問題から解放する」という視点からも、小学校区に1カ所のこども食堂を開設すべきだ、と強調されました。子どもたちの新たな「居場所」として注目したいと思います。なお、2月15日に初めて開設した白山市でのとりくみも紹介されました。

   今回の研究部会はこのほか、2017年度の活動総括と「県内自治体における教育予算等の調査結果」が報告されました。特に後者は教育総研が発足して以来の取り組みで、自治体ごとの奨学金制度、就学援助制度と受給状況、また図書館図書費や学校図書館司書の配置状況も含まれています。自治体比較と分析については、別途、研究部会サイトに掲載します。

   

11月21日、3回教育政策研究部会が開催されました。今回の主要研究テーマは小中学校の学習指導要領の改訂、小学校は2020年、中学校は2021年実施、2018年度より移行措置が始まります。特に小学校が劇的に変わります。1つは英語教育の導入、3.4年生に35時間の「英語活動」、5.6年生に現行35時間に35時間を上乗せして、評価を義務づける「英語教育」に、内容は中学校1年生の前倒しをすることになります。しかし文科省は専科教員を配置しない方針で、担任の負担が増大することは間違いありません。増えた時間をどう位置づけるのか、「カリキュラムマネジメント」と称し、学校に丸投げになります。結局夏休みの縮減や土曜授業の復活が心配されています。教職員の働き方が問題となっている中での今回の改訂、解決されるべき課題が山積しています。第4回は「子どもの権利条約」に係わる施策について、研究を進める予定です。

11月22日は環境教育研究部会。今回は研究課題にもある福島第一原発事故がもたらす諸問題がテーマに。9.30~10.1平和運動センター金沢が企画した「フクシマ現地研修会」に参加した新保正事務局長の報告がありました。事故から6年、仮設住宅の窮状、「いわき放射能市民測定室たらちね」の訪問、大熊町や富岡町での放射性廃棄物の処理施設見学、未だ帰還困難地域がある一方で着々と進む避難解除措置など、先の見えない実態報告がなされました。次回は昨年に引き続き、現場の実践を呼びかける提言を検討する予定です。

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12月1日、教育政策部会(半沢英一部会長)、「全国学力学習状況調査の廃止を求める声明」(以下、「全国学テ」「声明」)を記者会見で発表しました。会見には6社が参加し、翌日2日の朝刊で3社が報道しました。この会見の前に、県教育委員会に会見の趣旨を説明、学校指導課(堀田葉子課長)を通して県教育長宛にこの「声明」を届けるよう要請しました。この会見は全国学テが悉皆とされたことも加わり、文科省が説明する趣旨とは逸脱した状況にあるとして毎年この時期(県「評価問題」一斉実施前)に行っています。

声明では、本年3月、福井県池田町の中学2年生が自殺するという痛ましい事件を取り上げ、その背景に学校現場が学力偏重になり、子どもたちには息苦しい状況にあったと指摘。昨年4月の当時の馳文科大臣の指摘で出された、過度な事前練習を自粛する通達も事実上無視されていることにも触れ、2回も県ぐるみで事前練習(県「評価問題」)を繰り返す、石川県の実態を明らかにしました。結果公表が生み出す過度な競争主義に追い込まれる子どもたちの負担、採点業務やその分析など、理不尽な業務で教職員の長時間労働に拍車をかけていると指摘しました。
参加した記者からも文科省の結果公表時に「全国トップクラスの成績」との報道を行っているが、その背景についてはさらに取材をしていきたいとの声もありました。当日提出した「声明」についてはPDFで添付します。

1712学テ記者会見記事(PDF)

1711学力調査声明(PDF)

    

    11月19日、能美市・辰口福祉会館を会場に「公正な教科書採択を求める市民集会」が91名の参加で開催されました。この集会は日教組の教育キャンペーンの一環として、石川県では「子どもと教育を考える・いしかわ市民の会」が主催、県内教育関係者と市民に参加を呼びかける集会としています。2006年の第1次安倍政権が強行した教育基本法の改悪を契機に、この集会を継続してきましたが、特に、昨年からは2015年に県内3市で不透明な形で採択がなされた育鵬社の中学校社会科教科書を再び採択させないための広範な運動拡大を目指しています。今回講師としてお願いした善元幸夫さん(東京学芸大)は小学校勤務の傍ら、様々な総合学習の授業を作り続け、退職後は東アジア地域での教育交流を続けています。

 善元さんは、冒頭、指導要領改訂にふれ、とにかく膨大な量になっており、週5日は成り立たず、土曜授業の復活や夏休みの短縮まで文科省は言い出し、これでは学校現場は対応できなくなる。「資質・能力」が全面に出され、教育の目標だけでなく、指導の方法まで指示している。これまで、私達は「教科書で教える」と言ってきたが、これからは「教科書を教える」多様性を認めない姿勢だと指摘されました。本来「学力」についても多様なとらえ方があるはずで、2007年に学教法でこの「学力」を規定したことが問題であり、今日の全国テストは「学力向上」を強いており、明らかに公教育を壊している、とも指摘されました。

   
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「親と子のリレーションシップほくりく2017inいしかわ」(略称:リレほく)が10月21日、白山市を会場に開催され、教育総研からも事務局・研究員が参加しました。この集会は、北陸3県の子どもに関わる各種団体が加盟、各県持ち回りで開催し、今回が3巡目とのことです。今集会のテーマは「子どもが輝くまちづくりをめざして」、白山市が県内で初めて子どもの権利条例を制定して、10周年を迎えることから、白山市との共催の形もとっています。

冒頭挨拶に立った「リレほく代表」明橋大二さん(精神科医)は「幸せな子ども時代がなければ、幸せな大人を生きることができない。子ども達を単に支援の対象としてではなく、共に地域を創るパートナーとして考える子ども権利条約の精神が、今ほど必要な時代はない」として、今集会の意義を説明しました。 午前中は高木真理子さん(子ども夢フォーラム)がコーディネーターを務めるシンポジウム、地域のボランティアサークルで活動する高校生・吉田絢香さんの話題提供を中心に進められました。吉田さんは、あいさつをすることで人とのつながりを感ずることができると述べ、これに対し、明橋さん、あいさつは相手を大切に思っているからできることだ、弁護士の多田元さんは学校をワク越えたつながりが大切と強調、次々と話が展開しました。シンポジストには白山市職員の東雅宏さんも参加し、白山市が進めてきた「子ども憲章」の作成など、子ども参加の事業を紹介しました。

午後は第1「子どもの権利に学ぶ」第2「子どもの生き辛さに寄り添う」第3「大人のいき辛さに寄り添う」の3分科会に分かれて意見交換しました。この内、第1分科会では、参加者の半数が白山市子ども会議の小中学生、これを南雲勇多さん(早稲田大学)が巧みなコーディネイトで、大人と子どもが同じ話題で話し合う空間を作り出しました。この「ルレほく」来年度は富山で開催されます。

  

    9月30日~10月1日、福井県越前市を会場に「地方自治と子ども施策・全国自治体シンポジウム2017」が開催されました。この集会は、子ども施策のあり方や子どもにやさしいまちづくりの展望を見いだすため、自治体関係者や研究者、子ども施策に係わるNPO等が連携することで、2002年から開催されているものです。ちなみに、2010年度第9回は、「子どもの権利条例」が施行されている白山市で開催されています。

   

 全体会では冒頭挨拶に立った実行委委員長の荒牧重人(山梨学院大学)さんは、今回の全体テーマは「市民自治で創る子どもにやさしいまち」、今、子どもをとりまく基盤や環境が依然として厳しい。その中で適切な支援を行うためには、子どもの権利を基盤にした地域コミュニティをどう創り出すかが大切であり、その課題は行政だけで達成できるものではなく、子どもを含む市民参加・市民自治でとり組まねばならない、と集会の意義を訴えました。今回の会場、越前市は2012年に「子ども条例」を施行しており、地域関係団体、市民、行政が連携して「子どもにやさしいまち」に向けて施策を展開している自治体です。
 全体会シンポジウムには愛知県豊田市から施策の実現に参加している子ども会議メンバー、長野県松本市から子どもの居場所づくりにとり組む自治体担当者、越前市からは「市民立」の養護施設を自治体協働で立ち上げた取り組み報告がなされました。とくに子どもの意見を施策に実現させてきた豊田市の中高生の率直な発言が注目されました。会場からは、地方議会がどのような役割を果たしてきたのか、また学校現場との連携の難しさも質疑に出されています。

会議の2日目は「子どもの相談・救済」「子どもの虐待防止」、子ども食堂も課題とする「子どもの居場所」など、テーマ別に8分科会が開催され、教育総研からはのべ4名が参加しました。

 

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