桐生に学ぶ記者の覚悟

    2月28日、4回の平和教育研究部会が開催されました。2019年度活動の経過と総括が中心議題ですが、本年度精力的にとり組んできた学習会を前段に企画しました。  
    今回お願いした講師は北陸朝日報道局次長・黒崎正己さん、黒崎さんは北陸朝日放送(HAB)のドキュメンタリー番組、「言わねばならないこと~防空演習を『嗤った』男~桐生悠々」を制作、第1回「むのたけじ地域・民衆ジーナリズム賞」を受賞されました。黒崎さんは2年前、輪島市で弾道ミサイルの落下を想定した避難訓練を取材。その実効性が疑問視される中、訓練を淡々と伝える報道に危機感を抱きました。桐生悠々(1873~1941)は金沢市出身のジャーナリスト。1933年当時、「関東防空演習を嗤う」との記事を長野県の地方紙に掲載し、軍部の怒りを買うことになりました。
 「桐生悠々から学ぶ記者の覚悟」と題する講演の中で、明治から昭和の敗戦まで、日本の言論は「新聞紙法」で縛られていたが、例えば1918年、米騒動に対する報道禁止令に猛然と抗議し、新聞業界に訴えたことで、時の寺内内閣が総辞職に追い込まれたこと。一方新聞業界に対しても、営業のためと報道を規制する傾向に警鐘を鳴らしていました。これは現在安倍政権になって「ものが言えない空気」が広がったと言われているが、それ以前に報道が自己規制に走りすぎていないのか、検証すべきと黒崎さんは指摘します。
 桐生は新聞業界を追われ、晩年は「他山の石」という個人雑誌を発行し続けたが、その論説の中で「国家」に対する「国民」、「集団」に対する「個人」の自由を訴えている。安倍政権が進める政治的志向はこの間の治安立法の強行、道徳教育の教科化などに見られ、「個人」という言葉を排し、「公の秩序」を強調する自民党憲法改正草案に基づいたものだ。最後に桐生の指摘のように「個」の視点で物事を捉え、報道する姿勢が必要な時代だと痛感しているとまとめられました。質疑では、教育現場の息苦しさを訴える声が出され、報道に期待するとの要望もなされました。

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