「子どものいのち、暮らし、学びを支えるまちづくり」を

10月19日~20日、長野県松本市で「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム(実行委員長、荒牧重人・山梨学院大)が開催され、教育総研から事務局の古河、研究員の金沢市議・山本、小松市議・浅村の3名が参加しました。このシンポジウムは創意工夫ある子ども施策やまちづくりに取り組んでいる自治体関係者、研究者、専門家が全国から参加し、情報・意見交換する場として2002年から毎年開催され、2010年度には白山市で開催されています。

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全体会のシンポジストに立った菅谷 昭・松本市長は、医師でもあり、チェルノブイリ医療支援活動の体験から、「命を大切にするまちづくり」を公約にしてきました。2期目に入り、「こども部」を創設し、市民から見て、分かりやすいワンストップのこども施策を推進するとし、子どもの生活習慣改善事業、食物アレルギー対応食提供事業、発達障害児支援事業等を進め、さらに2年間の検討会議を経て、今年度「子どもの権利条例」を制定しました。この条例を受け、子ども参加、相談・救済のための第三者機関の設置など、これから推進計画を策定するとのことでした。

特別講演は韓国京畿道教育監・金相坤(キム・サンゴン)さん。韓国でも少子高齢化が急速に進み、教育の場でも激しい競争、いじめ・校内暴力など子どもをめぐる状況は厳しいものがあるようです。その中で、金さんはソウルに隣接する人口1,300万人の京畿道で、2009年に市民の直接選挙で選ばれた教育監(教育長)として、公約であった「児童・生徒人権条例」の制定に取り組み、2010年10月に公布されました。この条例は川崎市の「子ども権利条例」を参考に、人権を基盤に学校文化の変革と児童・生徒の人権実現のため、韓国で最初に制定されました。さらに無償給食の実現や新自由主義教育など公教育の様々な問題点を克服するための「革新教育」に基づく「革新学校」の取り組みを推進されています。「革新学校」では、子どもの意見の尊重や参加、保護者・地域社会の参加・連帯、民主的な教師会議、子どものための教育課程の自律編成など、学校を子どもにやさしい場にとの取り組みを推進し、2009年以来200校が指定されているとのことです。韓国と言えば、日本をしのぐ受験競争の過熱が報じられていますが、一方でこうした施策が進行していることに驚きと感動を覚えます。

2日目は6分科会、2特別分科会が開催され、古河・山本は第1分科会「子どもの相談・救済」に参加しました。この分科会では大津市の中学2年生がいじめを苦に自死した事件(2011,10)以来、「いじめ」が社会問題化し、2013年6月に「いじめ防止対策推進法」が成立したことから、いくつかの自治体から相談・救済活動の報告がなされました。まずはその大津市、事件を受けて本年2月に「大津市子どものいじめ防止に関する条例」が制定され、市長部局に「いじめ対策推進室」、外部第三者機関の委員会などの体制整備を行い、各学校にもいじめ対策委員会を設置、「いじめの疑い」のある事案を速報として市教委へ通報、市教委から推進室へ内容が伝えられるシステムとのことです。これに対し、「いじめ」に特化したため、その他の事案は対象外となることや市長部局の推進室による「調整」が果たして適切なのか、また通報に追われる学校が一層負担増にならないのか、等の疑問が出されました。他に東京世田谷区の「せたがやホッと子どもサポート」、尼崎市の「スクールソーシャルワークを活用した相談体制」の報告がなされ、参加者はそれぞれ各地での相談機関整備が急務であるとの確認を行いました。

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