小中一貫校は「万能」ではないが

教育政策部会では、研究課題に学校の統廃合問題を挙げ、その中で学力向上を企図した統廃合については慎重であるべきであり、地域に学校をできるだけ残すべきとしてきました。珠洲市で始まった小中一貫校の取り組みはその1つのあり方として総括してきたことから、8月4日に部会として珠洲市立宝立小中学校の視察を行いました。この日は猛暑日にも関わらず、事務局に地元の北野進・市議を初め、石政連議員を加え10名、珠洲市からは教育委員会事務局、学校側から寺井校長、2名の教頭にも参加頂きました。

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珠洲市では急速に進む少子化の中で、この小中一貫校導入は2008年(H20)、統廃合のあり方を検討する委員会の答申を受け、その中に宝立、大谷、三崎の3地区で小中一貫教育を推進すると明記されました。その具体化として2012年(H24)に、中学校敷地に小学校が合流する形で宝立小中学校が開校し、次に、来年4月開校をめざして、大谷小中学校が現在建設中とのことでした。

開校から4年目を迎え、当初上級学年による「いじめ」の心配が保護者にあったようですが、実際はその心配もなく、子ども達は柔軟に対応しているとのことでした。ただ、この小中一貫教育、決して「万能薬」ではないし、実践を積み重ねてこそ成果が出てくる。その有無は教職員次第だが、今後は「人頼み」ではなく、教職員が異動しても「学校力」を維持できるシステムの構築が必要だと、寺井校長は力説されました。

併設校ではなく、一貫校であることの特徴として「4-3-2制」の導入があります。前期として1~4年生、中期が5~7年生、後期が8.9年生とそれぞれブロックを組み、それに合わせ教室配置を行い、前期では4年生にリーダーとしての役割を担ってもらうようにしている、とのことでした。小規模校の悩みである教職員定数は、兼務辞令により、小中学校の教科担当が相互乗り入れることで、できるだけ免許外担当の解消も図っているとのことでした。また、特色ある教育をめざし、英語の特認校の指定を受け、小学校から外国語活動を始めているとの紹介もありました。

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文科省は今年3月、小中の義務教育9年間を弾力的に運用できる小中一貫教育を制度化する学教法の改正を行い、名称を「義務教育学校」として、2016年4月施行としました。今後は学校の統廃合が目的化し、こうした小中一貫校が増加することが想定されますが、どのような学校を目指すのか十分な議論が必要となります。

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