来年度からの中学校歴史教科書について、9月1日、金沢市教育委員会が育鵬社版を採択したと発表しました。いしかわ教育総研は、この教科書の記述が誤った歴史観に基づいていると指摘し、田村光彰所長、古河事務局長、そして森一敏・山本由紀子金沢市議も同席する中、採択撤回を金沢市教育委員会に申し入れました。
引き続き庁舎内で記者会見、この教科書は日本のアジア諸国への「侵略」を「進攻」「自存自衛」そして日本の戦争を「アジア諸国の解放」などと表現しており、こうした虚偽の歴史を教えることで、子どもたちに苦痛を与えるし、何よりもこの決定が、現場教職員の調査・研究に基づくものなのか明らかではないとも訴えました。この会見には多くの報道各社が集まり、同日のテレビ放映、翌日の新聞で報道されました。
育鵬社版は翌2日にも、加賀市と小松市で公民教科書も加えて採択されることが明らかになり、公民教科書に記載された「江戸しぐさ」が、歴史の事実に基づかず、いわゆる「偽書」との指摘も加えながら、同様に撤回の申し入れ書を作成しました。翌3日には両教育委員会にこの申し入れ書を送付するとともに、同日午後にその経緯を2回目の記者会見で説明しました。
石川県はこれで育鵬社版教科書は全国有数の採択率となってしまい、現場教職員にも戸惑いが広がっています。安倍政権となり、道徳の教科化に加え、いわゆる「つくる会系」の教科書採択の動き等、教育に対し、歴史修正主義に基づく政治的攻勢が強くなっています。今後とも、こうした動きに同調する地方教育行政の姿勢や現場教職員の意向を軽視するような不可解な採択経緯も併せて、撤回に向けた取り組みを追求せねばなりません。