戦争の不条理を実感

9月25日、平和教育部会が主催する公開研究講座が金沢市内を会場に開催されました。

午前中は野田山・県戦没者墓園でフィールドワーク、30名が参加しました。講師は教育総研所長の田村光彰さん、テーマは「戦争と墓地」。この野田山には戊辰戦争(1868年)以降の戦死者が祀られており、全国的にも珍しいとのことでした。加賀藩は薩摩・長州藩の会津討伐に加わり、その戦没者がこの陸軍墓地の一角に多数残されていますが、すべて個々の遺族が造ったものとなっています。その後、日清(1894年)・日露戦争(1905年)を経て、特にロシア人捕虜を丁重に扱い、ロシア人墓地も残されています。しかし同時期の中国大陸の戦地では日本軍は捕虜を取ることはせず、虐殺事件を繰り返し起こしてきたとのことであり、対アジアと対西欧とでは扱いの違いがあったことが指摘されました。この時期からは政府が墓碑の建立に関わるようになり、この墓園では、それぞれの戦争ごとの墓碑が建ち並んでいますが、死後も階級別、戦死・病死別など扱いを分けていることも指摘されました。また、墓園に隣接して韓国の独立運動家・尹奉吉(ユン・ボンギル)の暗葬碑があります。当時の朝鮮半島の植民地政策がどのような状況にあり、この行動をどう捉えるべきなのか、問題提起もありました。墓碑をめぐることで戦争の惨禍を考える貴重なフィールドワークになりました。  

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午後は会場を変えて、公開研究講座を参加者50名で開催しました。講師は旧満州からの逃避行を、生き残った者の使命として語り部活動を続けられている「北陸満友会」会長の宮岸清衛さん。宮岸さんは10歳時に、ソ連国境付近の黒河からの家族と別れて列車を乗り継いで、日本にたどり着いた体験を語られました。侵攻したソ連兵の行状や「残留孤児」になるかどうかという体験を通し、旧満州に在住していた日本人を「棄民」した国の不条理を訴えられました。  後半は小松支部の沖谷嘉江さんから全国教研参加報告。広島への修学旅行を続け、担当を分掌に明記して学年ごとに系統的に平和学習を続けている、この取り組みは学年だよりを通して保護者にも共感を求めている。教育総研では昨年度、「今後の平和教育」について提言をまとめ、こうした実践の継承が課題としてきましたが、沖谷さんの報告で1つの方向を示すものとなりました。なお、今回のフィールドワーク、公開研究講座についても、本瑞昭(映こま主宰)さんにDVD化をお願いしています。

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