小松市と加賀市教育委員会が、育鵬社中学校歴史・公民教科書を採択したことに抗議を行った。前回は、横浜市、大阪府内諸都市などが再採択を見送り、育鵬社教科書の約10%もあった全国採択率は約1%まで激減した。これは育鵬社教科書の問題点が全国的に広く知られるようになった結果と思われる。さらに今回は石垣市・与那国町、泉佐野市、下関市、金沢市が採択を中止した。育鵬社歴史教科書の問題点は、間違いの多さと偏狭な国家主義的叙述にある。また、公民教科書の問題点は、偏狭な国家主義的社会観と人権意識の低さにある。天皇の専制支配を定めた大日本帝国憲法を美化し、主権在民・男女の平等・基本的人権をもたらした日本国憲法を「押し付け」のみを強調し貶める記述である。人権についていえば、子どもの権利条約の説明に同条約の核心である「子どもの意見表明権」への言及がない。加賀市が採択した日本教科書道徳教科書の問題点も、偏狭な国家主義と人権意識の低さにある。LGBT問題が取り上げられるなど見かけ上の「現代化」の跡も見られる。しかしアジアへの侵略思想を鼓舞した吉田松陰の讃美に紙幅を費やし、阿賀野川水俣病訴訟で企業の責任を問わずそれを個人と自然の一般論とするなど、本質的なものは何も変わっていない。
豊かな自然と文化資産に恵まれ、空港や温泉を多数擁し世界に開かれた地でもある小松市と加賀市の子どもたちに必要なのは、国際的に通用する歴史認識と、高い人権意識が学べる教科書ではないのか。
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「加賀市の育鵬社歴史・公民教科書、日本教科書道徳教科書の再々採択に抗議する」