教育政策

11月28日、いしかわ教育総研は、「全国学力・学習状況調査」「県評価問題」の廃止を石川県教育委員会に求めるとともに報道を通して声明を発表した。年度当初に行われる「全国学力・学習状況調査」は、その対策もふくめ過度な競争的学習環境を生んでおり子どもたちに多大な負担を与えている。また、石川県では独自に「県評価問題」が12月に実施されている。石川県の不登校児童生徒数が全国平均を上回ることが問題になったが、県評価問題など全国学テに対する石川県の過剰反応がそれと無関係とも考えにくい。今年も正答率が公表され石川県は上位であったが、県内の市町ごとの結果が発表されなかったことは少しでも競争の緩和につながっている。
村井嘉浩宮城県知事が毎年行う必要があるかと問題提起し全国の知事会でも話題となってきており、毎年の悉皆調査のために競争が生じ調査の客観性もが失われている。年40億円を超える経費を子どもたちにとって有用な教育予算に活用されることが望まれる。
「全国学力・学習状況調査」及び「県評価問題」の廃止を求める声明(クリック)

 小松市と加賀市教育委員会が、育鵬社中学校歴史・公民教科書を採択したことに抗議を行った。前回は、横浜市、大阪府内諸都市などが再採択を見送り、育鵬社教科書の約10%もあった全国採択率は約1%まで激減した。これは育鵬社教科書の問題点が全国的に広く知られるようになった結果と思われる。さらに今回は石垣市・与那国町、泉佐野市、下関市、金沢市が採択を中止した。育鵬社歴史教科書の問題点は、間違いの多さと偏狭な国家主義的叙述にある。また、公民教科書の問題点は、偏狭な国家主義的社会観と人権意識の低さにある。天皇の専制支配を定めた大日本帝国憲法を美化し、主権在民・男女の平等・基本的人権をもたらした日本国憲法を「押し付け」のみを強調し貶める記述である。人権についていえば、子どもの権利条約の説明に同条約の核心である「子どもの意見表明権」への言及がない。加賀市が採択した日本教科書道徳教科書の問題点も、偏狭な国家主義と人権意識の低さにある。LGBT問題が取り上げられるなど見かけ上の「現代化」の跡も見られる。しかしアジアへの侵略思想を鼓舞した吉田松陰の讃美に紙幅を費やし、阿賀野川水俣病訴訟で企業の責任を問わずそれを個人と自然の一般論とするなど、本質的なものは何も変わっていない。
豊かな自然と文化資産に恵まれ、空港や温泉を多数擁し世界に開かれた地でもある小松市と加賀市の子どもたちに必要なのは、国際的に通用する歴史認識と、高い人権意識が学べる教科書ではないのか。
「小松市の育鵬社中学校歴史・公民教科書採択に抗議する」抗議文は右クリック
「加賀市の育鵬社歴史・公民教科書、日本教科書道徳教科書の再々採択に抗議する」

石川県の小中学校には、学校図書館司書が配置されている。複数校兼務の司書もいるが、2014年にすべての小中学校に配置された。学校図書館は、学校の教育課程の展開に寄与するための設備であるが、司書はその目的のために専門性を持って活動する。
教育政策研究部会が8月26日に行った学習会では、小松市の中学校と野々市市の小学校の司書の方から、司書の活動と課題についてお話を伺い、意見交換を行った。学習会の参加者は、読書センター・学習センターとしての役割を持つ学校図書館で、司書が貸出・返却、選書・蔵書の更新、本の展示や紹介などの活動だけでなく、調べ学習のための図書の準備をしたり、図書資料以外のメディアの特徴や選択の仕方を児童生徒に伝えたりするなど、多岐にわたる活動をしていることを学んだ。その一方、図書とICTとの併用が求められる中、司書に学習用端末が支給されていない学校があること、司書教諭を含む教職員との連携が十分でないことなどの課題があることも学んだ。また、司書の勤務労働条件にも様々な課題がある。司書の9割は会計年度任用職員(非正規公務員)で、任用期間が不安定で、賃金の改善はあっても退職手当がなく、休暇制度も十分でない。司書は高い専門性を持って日々活動しているのに、それに見合う待遇になっていない。そのため、今後の勤務や生活への不安、仕事への意欲の低下に悩むことが多い。学校図書館は、児童生徒の豊かな心を育み、学習を支援し、教養を育成する大切な設備である。その大切な図書館で活動する司書の役割は大きい。司書が安心して、生き生きと働けるように待遇を改善し、環境を整備することが必要である。学習会では、参加者からお二人の司書に様々な質問があり、その質問に対する回答から現状について深く考え、認識を新たにすることができた。今後さらに多くの人が司書の活動について知り、その課題の解決に向けてともに考えていくことが求められる。
レポート「学校図書館での司書の活動と課題」

「もう変えませんか?金沢市の歴史教科書」6月16日(日)教育プラザ富樫
・森一敏研究員がこれまでの金沢市議会の状況について報告された。2015年に山野市長が総合教育会議で「国の成り立ちである神話を」との発言。評価の低い育鵬社に最終の教育委員会議でひっくり返される。12月議会では「歴史に向き合う内容の議論がお粗末すぎる」と。2020年は選定委員会の答申が比較評価しづらい一覧になりプラスの数が少ない育鵬社が再採択された。2023年6月議会では「公正性・透明性、説明責任の担保を」と質問し、議事録の発言者名が記載されるようになった。
・相可文代さんは大阪での育鵬社教科書採択阻止の闘いについて話された。橋下徹府知事が大阪市長に鞍替え、採択区を8区から1区に統合した。サンケイ印刷の高尾教育委員が再任され、フジサンケイグループに1万8千人4年間で1億を超える教科書代金が入ることになった。「市民アンケートは7割が支持」フジ住宅の会社ぐるみでの水増しの実態を暴いた。大阪市議会が追求し「不適切な採択過程」が指摘され2020年育鵬社採択をやめた。
・高校生の感想では、他国が悪くなる印象でシベリア抑留には人数があり南京事件は虐殺とも人数もなく違和感や不信感を持った。会場での意見交換では、育鵬社の内容や採択過程の問題点について多く発言された。小林共同代表から問題があるから経緯がどこか秘密にせざる得ないとのあいさつと「金沢の教科書を考える市民集会アピール」で締めくくった。
金沢の教科書を考える市民集会アピール〈クリック〉

「子どもの学びの保障」について県内市町の教育委員会調査結果をまとめました。就学援助の受給状況は小学生11.4%中学生13.5%であった。独自の奨学金制度があるのは14市町で、返還支援を何らかの形で行っているのは10市町であった。教育機会確保のための不登校、ヤングケアラー、LGBT等の支援については庁内部局を越えた連携が求められる。
自治体調査結果・まとめ

第3回教育政策研究部会ではイスラエルによるガザ攻撃について半沢部会長がお話しされました。パレスチナ問題の背景にイスラエルの「約束の地」神話教育と、アメリカのキリスト教シオニズム大票田をもたらした公教育の貧困があること、教育の社会的重大性と日本の教科書問題に対する運動の意義が指摘されました。
パレスチナ問題から考える教育(概要はここをクリック)

「全国学力・学習状況調査」で石川県は小6国語・算数、中3数学で全国トップという例年どおり上位の成績であった。これらの結果を維持するため学校では事前練習が行われており過度の競争的環境は、得点力の低い生徒には過酷なものとなっている。石川県では前年の12月に独自の評価問題が行われており、学力調査の対策の前倒しは子どもたちの負担を早くから増やしている。結果が注目されると正答率の低い市町や学校では対策に拍車がかかることになっている。石川県の不登校数が全国平均より大きく上回ることが6月の県議会でも問題になったが、県評価問題などの全国学テに対する過剰反応がこの状況と無関係とは考えにくいのではないか。
「全国学力・学習状況調査」及び「県評価問題」の廃止を求める声明(左をクリック)

2023教育改革キャンペーンとして公正な教科書採択をもとめる市民集会が11月19日(日)石川県教育会館で行われました。半沢共同代表の基調報告では教科書採択と育鵬社歴史教科書の問題点が提議されました。小松市の中学校社会科教員からは他社と比較した説明があり、分かりやすかったという感想がありました。金沢市や加賀市から今年取り組んだ署名活動等の報告がありました。金沢市では議事録での発言者の教育委員名が表示され、加賀市では採択会議の一部が公開されるなど、これまでより一歩前進する動きが見られました。

「珠洲地震について」青木賢人 部会長
2007年のような断層の横ずれによる地震では、本震の後の余震のゆれは徐々に小さく少なくなっていく。今回の群発地震は、2021年6月から震度3以上の地震が長い期間に数多く続いており、大陸から日本海が形成されたときに能登半島の地下にできた無数の割れ目に、太平洋のプレートが沈み込んでいくときに上昇してきた液体が入り込んで地震が発生するものと考えられている。震源は外浦側であるが、地盤の柔らかい内浦側のゆれが大きく家屋の倒壊などの被害も多く見られた。埋立地のラポルトすず周辺では、液状化現象のあとも確認することができた。
群発地震の震源は北に移動して日本海の珠洲沖セグメントに近づいており、大きな地震を引き起こすことも考えられる。その際には津波の発生もするため、対策を要する。
5月の地震では、高校図書室の書架が倒れたが連休で生徒がいなかったことが幸いした。固定をすることや重い物を高い所に置かないなどの見直しが必要である。中学校理科室のガラス器具の破損は、昨年の地震とはゆれの向きが違ったことによるものであった。

今年も石川県は全国学力調査で上位県となりました。先日、好成績のうらには事前対策として過去の問題練習がされており学校では子どもたちや先生の負担となっていることがニュースや番組で放送されました。先生からの疑問の声も取り上げられていました。県の順位が出ることは市町や学校ごとの結果にも及んでおり上げることに躍起にならざるを得ません。4月に実施される調査の対策は新年度が始まったばかりの子どもたちに影響が大きくのしかかっています。馳県知事は文科相当時に教員からの訴えに対して、事前対策の問題性を指摘していたことから、石川県の対応に期待していましたが今年も来月6・7日に県の問題が実施されることから、石川県教育委員会に対し中止の申し入れを行いました。

「全国学力・学習状況調査」「県評価問題」の廃止を求める声明 ⇐ 抗議文の内容はクリックしてください

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